井の頭公園すぐそば「三鷹市吉村昭書斎」

気になるミュージアム

2024年に3月に開館したばかりの施設

こんにちは、悠帆堂です。
皆さまは、作家の経歴やプライベートには関心がありますか? わたしは、もちろん作品が好きだからこそですが、その方の評伝なども読んでいると面白くてしょうがないタイプです。まあ、ミーハーなんですね。
そんなわけで、今回は「井の頭恩賜公園」のすぐ近所にある「三鷹市吉村昭書斎」を訪ねてみました今年開館したばかりの施設です。

吉村昭は1927(昭和2)年に東京の日暮里で生まれた人です。1969(昭和44)年に三鷹に転居し、2006(平成18)年に79歳で永眠するまで住み続けました。作家としての地位を確立することになる「戦艦武蔵」をはじめ、記録文学・歴史小説で名を馳せる作家ですが、1966(昭和41)年に太宰治賞を受賞した「星への旅」までは作風が異なっていて、それまでに何度か芥川賞の候補にもなっています。

昭和の頃から読書体験を持つ人には懐かしく、また現在に至るまで強い印象を残している作家なのではないでしょうか。個人的には、戦争、災害、さらには熊と、その題材は現代社会でもとても興味深く、それが緻密な取材と調査に基づいて活写されており、“過去の人”などにはなりえない作品を数多残した方だなあと感じています。

寄贈された建物を移築し、書斎を再現

では、行ってみましょうか。

三鷹市吉村昭書斎 電柱の看板

最寄り駅は京王井の頭線「井の頭公園」。
駅を出て公園とは反対側に線路沿いの道を進むと、すぐのところにあります。

施設は「交流棟」と「書斎棟」から構成されていて、エントランスでもある「交流棟」には著作の数々が並び、自由に手に取ることができます。奥様である作家の津村節子氏の著作も揃い、モニターには奥様のインタビューが映し出されていました。

三鷹市吉村昭書斎 交流館
吉村昭書斎 交流館の書棚

「交流棟」から「書斎棟」へ向かう渡り廊下。吉村昭の経歴が壁面に記されています。この先の「書斎棟」には書斎と茶室、展示室があります。

三鷹市吉村昭書斎 渡り廊下の年表

「書斎棟」は、建物を移築して復元したものだそうです。ホンモノの迫力でしょうか、けっこう生々しい感じです。イスに座ってデスクに向かってみたい…。(残念ながら触れることはできません)

三鷹市吉村昭書斎 復元された書斎

エッセイにも登場したのを読んだような覚えがある原稿の整理棚。わたしも自宅でシゴトをしていた時期があって似たような感じで書類の整理をしていました。勝手に親近感を覚えてしまいます。

三鷹市吉村昭書斎 原稿の整理棚

帰りには「井の頭恩賜公園」を抜けて、「風の散歩道」をそのまま「三鷹」駅まで抜けました。「三鷹」駅前の「三鷹市美術ギャラリー」には「太宰治展示室 三鷹の此のちいさい家」とい施設もあります。その話はまたいずれ。

太宰治展示室 入口

■入館料   交流棟無料、書斎棟100円(年間パスポート300円)
■開館時間  10:00~17:30
■休館日   月曜日、年末年始(12月29日~1月4日) ※月曜日が休日の場合は開館、休日除く翌日・翌々日休館
■公式サイト https://mitaka-sportsandculture.or.jp/yoshimura/

吉村昭の書斎が、都内にはもう1つあります

こちらの「三鷹市吉村昭書斎」の書斎を見て“生々しい”と感じたのには理由があって、実は東京には吉村昭の書斎を復元した施設がもうひとつあり、そこを訪れたことがあったからです。荒川区にある「吉村昭記念文学館」です。こちらは作家の生前、1992(平成4)年に出身地である荒川区の日暮里図書館に誕生した吉村昭コーナーにルーツがあって、時間をかけて準備が進められ2017(平成29)年に文学館が開設されました。

両方とも、復元された書斎はもちろん瓜二つなのですが、三鷹の書斎は机上が雑然としていて執筆中、荒川の書斎は取材か何かでお出かけ中かな、という感じでした。
今回画像はないのですが「吉村昭記念文学館」は、展示資料が充実していてこちらもおすすめです。わたしもまた出かけていきたいと思います。

こちらもおすすめ 「吉村昭記念文学館」
■所在地   東京都荒川区荒川二丁目50番1号(ゆいの森あらかわ内)
■入館料   無料(企画展は料金がかかる場合あり)
■開館時間  9:00~20:30(常設展示。企画展は異なる)
■休館日   毎月第3木曜日、年末年始、特別整理期間 他
■公式サイト https://www.yoshimurabungakukan.city.arakawa.tokyo.jp/