こんにちは、悠帆堂です。
今回は神奈川県の県央、高座郡寒川町にある寒川神社を訪ねました。
八方除のご利益で知られる相模國一之宮
寒川神社は八方除の神様として知られる相模國一之宮。創祀の詳細な年代は不明ですが、雄略天皇の時代(456~479年)の奉幣、神亀4(727)年の社殿建立などの記録が残っているそうです。少なくとも約1600年の歴史があるとされるゆえんです。公的な記録としては「續日本後紀」に承和13(848)年に神階従五位下を授けられたとの記録が残っています。
お祀りされているのは寒川比古命(さむかわひこのみこと)と寒川比女命(さむかわひめのみこと)のニ柱の神さま。相模の国を中心に関東地方を開拓した神さまと言われます。
JR相模線でトコトコと。今回は「寒川」で降車し、表参道からお参り
アクセスはJR相模線「宮山」駅からが近く、公式サイトでも「宮山」駅が最寄り駅とされています。わたしもいつもそのルートで訪れるのですが、今回はせっかくですので「寒川」駅で降りて、表参道を一の鳥居から訪ねることにしました。


線路沿いの細い道を使って、一の鳥居がある踏切まで出ました。森の空気に包まれながら表参道の松並木を進みます。「かながわの美林50選」の標識が立っています。




一般的な生活道路としても使われている車道が、中央の緑地の両側に1車線ずつ一方通行で走っていて独特の雰囲気です。

コンクリート製の二の鳥居があらわれます。高さは16mで神奈川県内でも有数の規模のようです。



「寒川」駅から表参道を通るこのルートだとだいたい徒歩で20分ぐらいでしょうか。あまり本数は多くないですが、バス便もありますね。
もっとも、素直に「宮山」駅からお参りすれば徒歩5分ほどです。
三の鳥居と神池橋から、厳かでありながら開放感のある境内へ

さて三の鳥居と神池橋が見えました。橋を渡り鳥居をくぐって杜の中を続く参道を抜けると神門。この門は初詣の時期には華やかな「ねぶた」で彩られます。今年2024年の点灯式は12月20日だそうです。もうすぐですね。

そして、神門の向こうには御社殿。寒川神社でわたしがいつも感銘を受けるのは、総檜づくりの美しい御社殿もさることながら、その前に大きく広がる石畳の内庭です。初詣の時期には大勢の参拝者の皆さんで埋まりますが、平素は清々しく開放感のある空間が迎えてくれます。



八方除で知られる寒川神社のシンボルともいえる渾天儀が、右手に置かれています。四隅を龍が支えています。


御祈祷を受けた人だけが入苑できるお庭を訪ねたくて
わたしにとって寒川神社は折に触れてよく訪れるスポットなのですが、今回はひとつ目的がありました。それは御祈祷を受けること。というのも、御祈祷を受けた人だけが入苑することができる「神嶽山神苑(かんたけやましんえん)」というお庭が御本殿の裏手にあり、以前からお伺いしてみたいと思っていたのです。
なんだかよこしまな理由で叱られてしまいそうですが…。
御祈祷は、神門の隣にある客殿で申し込みをします。用紙に自分で氏名や名前を書いて受付に。でも、お願いごとはまだ書かなくても大丈夫。受付にいらっしゃる神職の方がこちらの話を聞いて判断してくれるのです。「最近始めたことがあったり(このブログのことも含まれています笑)、これから始めたかったりすることがあるのでうまくいきますようにと思いまして――」などと、ちょっとしどろもどろでご相談をしました(苦笑)。



客殿の待合室で待っている間、お菓子をいただきました。御社殿で御祈祷を受けた後は、御札などの授与品をいただいて退出です。
さて、それでは「神嶽山神苑」へ


外門をくぐると、手水舎と特徴的な形をした手水鉢。その少し奥には「難波の小池」と呼ばれる泉があります。寒川神社の起原に深く関わりのある泉とされていて、撮影禁止とのことでした。ちょうど御本殿の裏手にあるのが分かります。


少し進むと裏参拝所があります。華やかな御社殿側とはまた趣の異なる神さびた雰囲気です。


そして、内門をくぐると、別世界のように池泉回遊式庭園が開けます。入口にあった手水鉢と同じく、特徴的な形をした石から泉が湧き出る「八気の泉」が目を惹きます。八気の泉や手水鉢に使われている石は旧三の鳥居の基礎石だったものだそうです。




池のほとりには茶屋「和楽亭」、茶室、神楽や雅楽が行われる石舞台などが配されています。


こうした中に八方除についての資料や寒川神社の歴史について展示した「方徳資料館」があります。展示室の中央に配された渾天儀やキトラ星宿図の展示は、資料というよりもそれ自体がどこか神秘的な趣を湛えた祭壇のようでもあり、とても印象的でした。

展示物は一部を除いて撮影はOKなのですが、インターネットなどでの公開にはご許可をいただく必要があるとのことでしたので、今回画像の掲載はご遠慮させていただきます。
公式サイト(https://samukawajinjya.jp/)の「境内案内」から「神嶽山神苑」→more→「方徳資料館」をクリックすると館内の画像を見ることができます。ぜひご覧になってみてください。
観光地ではないですが…のんびりした寒川の空気感が好きです
数年前にひょんなことからお参りし、以来、JR相模線に乗ってコトコトと訪ねる感じが気に入ったのもあり、時々散歩のように出かけていく場所になりました。歴史はあるけれど創祀がはっきりせず、古事記に登場する神さまでもないせいでしょうか。インターネットなどを見ると、どこかミステリアスな一面に惹かれる方もいるようですね。寒川神社を含む一帯は観光地といった雰囲気ではありませんが、相模國に暮らす地元の方々、武蔵國から物見遊山でふらふら訪れるわたしのような人、パワースポットめぐりが好きな人、いろいろな人たちにとって存在感のあるお社だなと感じています。

■開門 6:00~日没(授与所 8:00~16:30/正月・下記は別途告知)
■御祈祷受付 8:00~17:00(年中無休)
■公式サイト https://samukawajinjya.jp/